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2026.02.10

物理の記述式答案の作成法について

受験生の目線で見ると,物理は数学と比べて記述式の答案を作成する機会が少なく,「どのように書けばよいのか分からない」という相談を受けることが多い.特に,東京大学をはじめ,東北大学や東京科学大学(旧東京工業大学)の二次試験では,白紙の解答用紙が配布され,全問記述式で解答していく形式が取られている.このような大学の入試では,物理の理解度そのものとは別に,記述式答案の作り方を知っているかどうかで,得点に差が生じやすい.

本記事の目的は,記述式答案において基本的に満点となるための必要十分条件を明確にすることである.つまり,「これが書けていればそれで足り,これ以外を書かなくても評価としては十分である」という基準を示す.


◆ 基本方針

記述式答案において,基本となる構成は次の3点である。

  • 用いる物理法則や考え方を示す

  • それに対応する式を書く

  • 最後に問題の答えを記す

例)運動方程式より,

ma=Fa=Fm

この3点が揃っており,かつ内容が正しければ,簡潔に書いていても基本的に減点されることはない.逆を言えば,基本的にこの3点に部分点は与えられるものであり,それを満たすために直接必要でない記述は,答案としては必須ではない.また,大問における序盤の簡単な問題は,答えのみ記述すれば良い.


◆ 途中計算について

実際の受験生の答案を見ると,必要以上に多くの情報が書かれていることが少なくない.特に,途中計算をすべて解答欄に書いてしまうケースはよく見られる.しかし,採点の対象となるのは,

  • どの物理法則を用いたか

  • それをどのように立式したか

といった点であり,計算過程そのものが評価の中心になることは基本的にない.ここで誤解してほしくないのは,「途中計算を書かなくてよい」というのは,「考えていることを書かなくてよい」という意味ではない,という点である.考えた内容は,文章として長く説明するのではなく,法則の選択や式の形として示される.その意味で,途中計算を細かく並べることは,必ずしも有効な表現とは限らない.もちろん,例外的に計算過程が参照されることもあるが,それを前提に答案を作る必要はない.限られた試験時間の中では,余計な記述をしていると大幅な時間のロスに繋がってしまう


◆ 問題ごとのメリハリ

記述式答案では,問題ごとに書き方のメリハリをつける意識を持ちたい.

  • 答えに自信がある問題では,必要事項を簡潔にまとめる

  • 答えに自信がない,あるいは時間が足りない場合には,方針を示して部分点を狙う

後者の場合,その問題で現象を支配している物理法則が分かっていれば,それはできるだけ明示したい.また,状況を正しく把握していることが伝わる記述は,評価上有利に働くことが多い.さらに,図を用いることで記述量を大きく減らせる場面もあるため,図で説明できる場合には積極的に活用するとよい.


◆ 答案を書くときの心構え

多くの受験生は,「きちんと書かないと減点されるのではないか」という不安から,必要以上に丁寧な答案を書いてしまいがちである.しかし,採点は複数人で行われることが一般的であり,採点者側も可能な限り得点を与える方向で判断する.採点は,受験生の理解を正しく評価するための作業である.減点されにくい答案とは,説明が多い答案ではなく,評価に必要な要素が過不足なく揃っている答案である.この点を意識してほしい.


◆ まとめ

記述式答案では,

  • 満点となるための必要十分条件を意識すること

  • それ以上の記述を目的化しないこと

が重要である.解答欄に余白が残ることに不安を感じる人もいるかもしれないが,必要なことが書けていれば,余白そのものが問題になることはない.簡潔で要点を押さえた答案こそが,最も安定した記述式答案である.

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